テレビ持ち込み禁止の予備校の寮

ぼくの高校時代の部活の同期で、二浪して大学へはいった友人がいます。成績は悪くはなかったのが、普段のんびり屋のくせに理想が高く、偏差値の高い大学しか受験しなかったため、浪人生活が長引きました。現役で不合格が決まると、友人は「オレは家にいると遊んじゃうんで」といって、住んでいる神奈川県からはるばる名古屋まで行って、全寮制の予備校に入りました。彼の家がお金持ちだったのと、おじいさん、おばあさんの住まいが名古屋だったので、そこを選んだようでした。彼が入った予備校の寮は、とても厳しい決まりがあるので知られていました。ものすごくせまい部屋で、寮生同士が部屋に集まってわいわい遊ぶのは禁止。部屋に持ち込めるものにも制限があって、当時でさえ古臭いくらい、スパルタでした。嫌なら勉強して合格して出て行けばいいので、厳しさは学生に親御さんに受け入れられていて、入った友人も一生懸命マジメに勉強していたようです。ただ、テレビの持込みが禁止されていたのが、彼の浪人生活に微妙に影響を及ぼしました。予備校の寮ですから、テレビを見ている暇があったら勉強しろというわけで、持ち込み禁止なのは理解できます。ただ、彼のお父さんは、大手テレビ局に勤めていました。お父さんが関わるテレビ番組が放送されることがあり、最初は録画していたのが、「これでこっそり見ろ」と、お父さん自ら携帯型の小型テレビを送ってきたそうです。以来、寝る前にそのテレビでひそかにお笑い番組やドラマを見るようになってしまいました。二浪時代はさすがに控えたようですが、テレビさえなければ一年で合格できたかもと、親子で思ったかもしれません。結局は志望大学に入れたので、いまとなっては笑い話です。

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